好調な米国株式や全世界株式インデックスファンドが気になっている人は多いことと思います。
皆さんは投資対象を検討する時に「目論見書」は見ていますか?
「米国株式や全世界株式を買っていれば、長期的には間違いない」という話が多いので、目論見書や運用報告書にはあまり目を通さずに投資している人もいるかもしれませんね。
投資初心者には分からない用語も多くてチンプンカンプンかもしれませんが、分からないなりに目論見書には目は通しましょう。全てを知る必要はなく、確認すべき項目は幾つかに絞ることは可能です。
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例えば僕も持っている【楽天・全世界株式インデックス・ファンド】の目論見書の最初の方に「為替ヘッジ:なし」という表記が見られます。
「為替」という言葉はニュースでもよく耳にすると思いますが、「ヘッジ」という言葉は少々聞きなれない人もいるんじゃないでしょうか。
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海外の株式や債券に投資を考えたときに、「為替相場」のことは否が応でもリターンに影響してきますので、「為替ヘッジ」について理解しておきましょう!
為替ヘッジとは
日常生活の中でも「リスクヘッジ」という言葉は時々耳にするのではないでしょうか。「今後起こりうるリスクに対して保険をかけておく」みたいな意味で「リスクヘッジをかけておく」と言ったりします。
ヘッジとは「回避」という意味なので、「リスクヘッジ」とは「リスク回避のための手段」とでもいったところでしょうか。
「為替ヘッジあり、なし」というのは「為替相場の変動リスクに対して、リスク回避のための手立てが有るか無いか」ということになります。
為替リスク
投資の世界では円やドルなど為替の相場が資産価値やリターンに大きく影響します。投資の世界ではリスクというのは「値の上げ下げの幅」を言いますので、「為替リスク」というのは為替相場の振れ幅のことを言います。
ニュースの最後に「1ドル=105円」とかいう円相場のニュースを聞くと思います。
これは「1ドルを買うのに105円かかる」ということです。逆に言うと「1ドルで円が105円分買える」ということです。
次の日に「1ドル=100円」になったら「1ドルで円が100円しか買えなくなる」ので、ドルに対して円が高くなって、同じ1ドルで買える日本円が少なくなってしまいました。これは円高ドル安が進んだ状態です。
例えば100ドルのインデックスファンドを購入した時に「1ドル=100円」だったら日本円1万円で購入することになりますね。
次の日にこのファンドを売却しようと思ったときに「1ドル=90円」(円高)になっていたら、売却して手元に戻る日本円は9000円に減ってしまいます。「1ドル=110円」(円安)だったら売却すると11000円に増えます。これが為替リスクです。
円高ドル安が進むとドル建ての資産は目減りしてしまうということです
為替ヘッジ
日本は変動相場制をとっているので、ドルと円の関係は日々変化します。この刻々と変わる為替リスクの影響を軽減させようというのが為替ヘッジです。
「為替ヘッジあり」のインデックスファンドだと為替の変動によるリスクを軽減させることはできますが、為替ヘッジを実行するためのコストがかかります。
為替ヘッジあり | 為替ヘッジなし | |
為替相場の影響 | 抑えられる | あり |
為替差損益 | 発生しても少ない | 発生する |
ヘッジコスト | かかる | かからない |
為替ヘッジとは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
もし円高ドル安が進みそうな気配がある時、先ほどの「1ドル=100円」の時に購入した100ドル分のインデックスファンドを「明日1ドル=105円で交換します」という予約ができる取引があります。
すると実際の為替相場が「1ドル=90円」といった円高ドル安へ進んだとしても、予約した金額で売却できるので資産の目減りは回避できますね。
ただし、予約のためのコストがかかります。ヘッジコストと呼ばれるものです。
見込みとは逆に円安ドル高が進んで「1ドル=110円」になったら、予約した105円よりもそのまま当日の相場で売却した方が利益が出たので、1ドルあたり5円分の利益を得る機会を失いました。これを機会損失と言い、為替ヘッジではこういうことも起こりえます。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドは「為替ヘッジ:なし」
目論見書の【主な変動要因】に「為替変動リスク」について書かれています。【楽天・全世界株式インデックス・ファンド】の目論見書を見てみましょう。
当ファンドは実質的な外貨建資産について原則として為替ヘッジを行わないため、為替レートの変動により基準価額は変動します。為替レートが円高方向に変動した場合には、基準価額が下落する要因となります。
引用:「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」目論見書
いろいろなところで一押しされている全世界株式ファンドですが「為替ヘッジ:なし」なので、為替リスクがあると書いてあります。
円高になると資産が目減りしますが、一方で為替ヘッジによるコストはかからないことになります。
為替ヘッジは「あり」か「なし」か?
多くの人が投資を将来の資産形成のために行っていると思うので、その場合の基本スタンスは長期的な積立によるインデックスファンドへの分散投資です。
「長期」「積立」「分散」は安定した資産形成には欠かせない3つの要素です。
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為替リスクは時間の流れの中で上がり下がりを繰り返しますので、長期投資による時間分散が為替相場の変動リスクをある程度は緩和してくれると思います。
そういう意味では「為替ヘッジなし」でいいかと思いますが、メリットと共にデメリットも考慮しましょう。
「為替ヘッジなし」のメリット
「為替ヘッジのコスト」がかからないことは大きなメリットです。【楽天・全世界株式インデックス・ファンド】の運用コストは年間0.212%ほどです。
為替ヘッジコストは「日本円と対象通貨の金利差」となるので常に一定ではありませんが、少しでも運用コストを下げたい長期投資において、更なるコスト増は避けたいところです。
また円安局面では「為替ヘッジなし」の場合は資産の値上がり利益も享受できますね。
「為替ヘッジなし」デメリット
メリットの裏返しで、円高が進むと外国通貨建ての資産は目減りして為替差損が発生します。
最後に
「為替ヘッジあり・なし」のどちらのファンドがいいかについては、一概に正解はありません。
これから円安が進むと考える人にとっては「為替ヘッジなし」のファンドであれば「為替差益」が期待できます。
一方で円高が進むと考える人は「為替ヘッジあり」のファンドを選ぶことで為替変動リスクによる「為替差損」を回避することができます。ですがヘッジコストの負担が発生します。
「とにかくリスクは取りたくない!」と思う人もいれば、「外国株を購入するんだから為替リスクは致し方ない」と甘んじる人もいて、どちらも間違いではありません。
自分のリスク許容度やリスクに対する方針をしっかりと明確化しておきましょう。
以上、エンティでした!Nice meeting you & Have a great day!!
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